「空港での手荷物保安検査」。機内持ち込み禁止品をうっかり所持していたために、係員による中身チェック、さらには没収の憂き目にあったことがある人も多いのでは。
実は私も一度ならず何度か、液体をはじめとする所持品を放棄させられた苦い思い出が・・・。幸いにも安価なものだったのですぐにあきらめましたが、大切なおみやげなどであれば考えるだけでもゾッとしますよね。
そんなことにならないためにも、パッキングの基本ルールは十分に理解しておくことが大事ですね。「機内持ち込み手荷物」では、モバイルバッテリーや液体物(化粧品、クリーム、目薬、コンタクト洗浄剤など)に関する容量制限も知っておかなければなりません。
今回は機内に持ち込みできる手荷物とできないもの、また受託手荷物の注意点などについて国際線を中心にまとめてみたいと思います。
Contents
機内持ち込み手荷物と受託手荷物(預け入れ手荷物)の違いとは何?
飛行機に乗るとき、通常は自分の手荷物を2つの方法で目的地まで運びます。
すなわち、ショルダーバックなどで飛行機内まで携帯する持ち込み手荷物。そしてカウンターで預けてしまう受託手荷物です。
●「機内持ち込み手荷物 」は、飛行機に乗るときに、身の回り品や貴重品など自分自身で携帯して機内まで持って行く荷物
▲機内持ち込み手荷物
●「受託手荷物(預け入れ手荷物) 」は、搭乗手続きをするときにチェックインカウンターで航空会社に預けてしまうスーツケースなどの大きな荷物
▲受託手荷物を預けるチェックインカウンター
機内持ち込み手荷物と受託手荷物では、持ち込みのルールが異なります。注意してくださいね。
▲到着地で受託手荷物を受け取るバゲージクレーム
機内持ち込み手荷物と受託手荷物(預け入れ手荷物)の英語
「機内持ち込み手荷物」と「受託手荷物」を英語で何というか覚えておくと海外での搭乗手続きで慌てないですみますね。
機内持ち込み手荷物:「hand baggage」または「Carry on baggage」など
受託手荷物:「Check in baggage」など
機内持ち込み手荷物、受託手荷物ともに持ち込み不可能な禁止品
▲危険物と危険品
まずセキュリティ上、輸送が禁止されている危険物、危険品を覚えておいて下さいね。
危険物、危険品は機内持ち込み手荷物、受託手荷物ともに原則として持ち込みが不可能です。
これは航空法や国際民間航空機関(ICAO/イカオ)の国際的ルールに準じて定められています。ルールに違反した危険物の輸送は、罰金の対象にもなるのでご注意下さい。
パッキング前に再度ご確認を。
危険物 危険品とは
●高圧ガス類(引火性ガスや毒性のガスなど)
スプレー缶類 、ライター用ガス、ガスライター、ダイビング用ボンベなど
●可燃性物質
徳用マッチ、炭など
●火薬類
花火、クラッカーなど
●引火性液体類
ガソリン、ペイント類、香料、オイルライター用燃料など
●酸化性物質
漂白剤など
●毒物類
殺虫剤、農薬など
●腐食性物質
液体バッテリー、水銀など
●その他の有害物質
エンジン、リチウム(イオン)バッテリーなど
●放射性物質
リチウム(イオン)電池やマッチ、スプレーなど危険物に分類されていても、条件を満たすことで例外的に持ち込みが緩和されるものがあります。
機内持ち込み手荷物と受託手荷物(預け入れ手荷物)の注意点
▲出国手続き前の廃棄ボックス
ここからは危険物や危険品を把握した上で、機内持ち込み手荷物と受託手荷物の注意点を挙げてみますね。具体的には、
- 機内持ち込み手荷物禁止品 凶器類など → 受託手荷物へ入れる
- 受託手荷物禁止品 モバイルバッテリーなど → 機内持ち込み手荷物に入れる
- 機内持ち込み手荷物制限 液体類など → ルールに則って持ち込む
の3点を確認してみたいと思います。
機内持ち込み手荷物で禁止されているもの
機内持ち込み手荷物では、先端の鋭利なものなど凶器として使用される可能性があるものは持ち込み禁止品になります。
これらを輸送する場合は受託手荷物に入れて下さいね。
ナイフなど先端の鋭利なもの
▲凶器として使用されるものは機内持ち込み禁止
代表例としてナイフやカッター、はさみ類。ゴルフクラブやバット、ドライバーなどの工具類も禁止されています。
- ナイフ、はさみ類
- 先のとがったもの
- 工具類
爪切り、毛抜き、エチケットはさみ、化粧用かみそりは?
爪切りや毛抜き、エチケットはさみ(刃体が6cm以下で先が鋭利でないもの)、化粧用かみそり(刃体が4cm以下)は機内持ち込みが可能です。
例えば、私はインドネシアのスカルノハッタ国際空港でエチケットはさみ、フィリピンのニノイ・アキノ国際空港で折り畳み傘を没収された経験があります。
受託手荷物(預け入れ手荷物)で禁止されているもの
予備電池としてのモバイルバッテリーやリチウム(イオン)電池、電子タバコ、ライター等は、受託手荷物(預け入れ手荷物)禁止品です。
これらを持ち運ぶ場合は下記のルールに従って機内持ち込み手荷物に入れて下さいね。
▲チェックインカウンターで確認される預け入れ荷物禁止アイテム
モバイルバッテリーなどのリチウム(イオン)電池
モバイルバッテリーなどの予備電池類を機内に持ち込む場合は以下の容量制限があります。
- リチウム金属電池はリチウム含有量2g以下
- リチウムイオン電池は160Wh(ワット時定格量)以下
一般的にリチウムイオン電池は繰り返し充電が可能で、リチウム電池は使い切りです。
予備電池 | 容量 | 機内持込 | 数量 | 受託 |
---|---|---|---|---|
リチウム金属電池 | 2g以下 | ◯ | 制限なし | × |
2g以上 | × | × | × | |
リチウムイオン電池 | 100Wh以下 | ◯ | 制限なし | × |
160Wh以下 | ◯ | 2個まで | × | |
160Wh以上 | × | × | × |
モバイルバッテリーの160Whってどのくらい?
ところで機内持込可能なモバイルバッテリー(リチウムイオン電池)の上限である160Whはどのくらいなの容量なのでしょうか?
▲10,000mAhと6,800mAhのモバイルバッテリー
私が利用しているモバイルバッテリーを調べてみると、アンカー(黒)のバッテリーは「10000mAh 38.5Wh」、RAVPOWER(白)には「6700mAh 24.12Wh」と表記されていました。100Wh以下なので手荷物として問題なく複数持ち込むことができますね。
ワット時定格量(Wh)の計算
バッテリー容量の表記がmAh(ミリアンペアパワー)だけの場合は、以下の計算でワット時定格量(Wh)を求めることができます。
- ワット時定格量(Wh)=定格定量(Ah)×定格電圧(V)
- 1Ah=mAh÷1000
リチウムイオン電池の公称電圧である3.7Vで計算してみると10000mAhのアンカーのバッテリーは、10000÷1000×3.7=37Whとなりほぼ表記のWh数と一致していますね。
なお、電圧が3.7Vであるとすれば160Whはおおよそ43000mAhのバッテリー容量に相当します。
▲最大出力30Wの急速充電器
空港などでスマホやモバイルバッテリーの電池がなくなったとき、フルスピード充電が可能な急速充電器を1つ持っていると便利ですよ!
リチウム電池が入っているパソコンやタブレットなどは?
一方でスマートフォン・パソコン・タブレットなどリチウム電池が内蔵・装着されている電子機器本体は、電源を完全にオフにし適切な梱包をした上で機内持ち込み手荷物・受託手荷物ともに入れることができます。ただし、リチウム金属電池はリチウム含有量2g以下、リチウムイオン電池は160Wh以下に制限されています。
▲リチウム電池内臓の電子機器本体
私のパソコンのバッテリーパックを外すと裏には、「Li-ion電池 6400mAh、47Wh」と表記されていました。160Wh以下なので手荷物・受託手荷物ともに入れることができますね。
▲パソコンに装着されているリチウムイオン電池
なお、乾電池、ニッケル水素電池は機内持込み・受託手荷物ともに可能です。
ライターとマッチ
▲ターボライターとオイルライター
喫煙用ライターと安全マッチはどちらか1個だけ機内持ち込みのみ可能です。
ただし、強力な炎や青い炎を出すプリミキシングライターや葉巻用ライター、オイルタンク式ライターなどは機内持ち込み・受託手荷物ともに不可能です。
- オイルライター(ジッポーなどの吸収材入り)
- ガスライター(使い捨て、ガス充填式)
- 安全マッチ
電子タバコ
電子タバコは機内持ち込み手荷物のみ可能です。
液体物を機内持ち込み手荷物で持ち込む場合の容量制限
▲出国手続き前の液体廃棄ボックス
機内持ち込み荷物に液体物を含める場合に知っておかなければならないのが液体物機内持ち込みの量的制限です。
制限を超えた液体類は放棄することになるのでご注意下さい。
液体物の機内持ち込みルール(国際線)
液体類の機内持ち込みルールは以下の通りです。
- 100ml(グラム)以下の容器に入れる
- 無色透明プラスチック袋にまとめる (袋は縦と横の合計が40cm以下、1リットル以下のもの)
- 1人1袋まで
- 手荷物検査ではトレーに入れる
▲100ml以下の容器をジップロック式プラスチック袋にまとめます。
注意してほしいのは使いかけで中身がほとんどなくても、100mlを超える容器は機内持ち込み禁止になることです。その場合は、100ml以下の容器に移し替えて機内に持ち込むことになります。
▲容器が100mlを超えるものは機内持ち込み禁止
こんなモノも液体物!
液体物の量的制限の対象には液体のほかに、ジェル・エアロゾル(煙霧質)・半液体状物も含まれます。
例えば、みそ・マヨネーズ・ジャム・レトルトカレー・缶詰・漬物・ヘアクリーム・ムース・練り歯磨き粉などなど。中には「えっ、こんなものも…」というものあるのでご注意を。基本的に化粧品など機内や制限エリア内で使う液体物以外は、受託手荷物にするほうが無難ですね。
▲ジャムや缶詰も量的制限の対象
海外で乗り継ぐ場合は、再検査の際に現地のルールに基づいて放棄させられる可能性があります。事前に搭乗する航空会社などに確認しておきましょう。
国内線の液体物
液体物の機内持ち込みに関して国内線は国際線ほど厳しい制限はありません。例えば、お茶などの飲料は機内持ち込みが可能です。ただし、
- アルコール飲料は、度数が24%~70%以下は5リットルまで(70%を超えるものは不可)
- 化粧品・医薬品(非放射性)は、1容器あたり0.5kgまたは0.5リットル以下で1人2kgまたは2リットルまで
等の制限があります。
スプレー類
▲引火性ガスを使用したスプレーには火気の表示があります。
非放射性物質の化粧品スプレー(芳香・日焼け止め・ヘアスプレーなど)、医薬品スプレー(虫よけ・虫刺され・殺菌消毒スプレーなど)、スポーツ用品・日用品で引火性ガス・毒性ガスを使用していないものに限り、1容器0.5kg、または0.5リットル以下で1人2kg、または2リットルまで機内持ち込み手荷物・受託手荷物ともに可能です。
ただし、スプレー類はほぼ液体物に分類されると思うので、国際線に手荷物で持ち込む場合は100ml以下の容器である必要がありますね。
なお、引火性ガスを使用した日用品・スポーツ用品のスプレー類は機内持ち込み手荷物と受託手荷物ともに不可能です。
ヘアアイロンやヘアカーラー
ヘアアイロンやヘアカーラーはコンセント式、または電池式コードレスの場合、電池の取り外しができるものは機内持ち込み手荷物・受託手荷物ともに可能です。(取り外したリチウムイオン電池の場合は予備電池扱い)
最後に
機内持ち込み手荷物と受託手荷物(預け入れ手荷物)には、国や地域、空港、航空会社によっては独自の規制がある場合があります。
詳細や不安な点などは、国土交通省のホームページを参照するか利用する航空会社に確認することをおすすめします。
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